Kampong Ayer 基本情報

Kampong Ayerとは

ブルネイ川に浮かぶKampong Ayerは600年以上の古い歴史を持つ水上都市です。

 

かつて、陸上の動物から身を守るために水の上に住むという道を選んだ人々は、世界でも類を見ない大規模な水上都市をつくりあげました。16世紀にここを訪れたイタリア人冒険家ピガフェッタもこの集落に魅了され、旅行記に「東洋のベニス」と記したほどです。

 

今もバンダル・スリ・ブガワンの人口の約30%、3万人が暮らすこの集落では、住宅の間に網の目のように張り巡らされた水路を水上タクシーが走り、軒先で住民たちが談笑しています。

水上とは言え、学校、病院、警察署、消防署といった施設から、水道や電気などのライフラインまで生活に必要なものはすべて整っており、テレビやエアコンなどの電化製品を持つ家も多くあります。

アジアらしい活気に満ちたこの水上都市は、古き良き時代と現代が同居した不思議な雰囲気が漂います。

Kampong Ayerへ行くには水上タクシー(ジェッティ)しか方法がない。手工芸品の産地でもあるこの土地では穏やかな時の流れと暮らしの息吹を感じる事が出来ます。

ジェッティ

陸地からKampong Ayerにはジェッティで渡ります。ジェッティはKampong Ayerの住民にとって、対岸に渡るために必要不可欠なものです。住宅街の所々にバス停のようなジェッティ乗り場があります。

住民個人のジェッティ乗り場
住民個人のジェッティ乗り場

住民の家には個人のジェッティ乗り場があります。

住民はここからジェッティに乗ったり、自分のジェッティを使って移動します。

陸地からKampong Ayerへ
陸地からKampong Ayerへ

ジェッティが来る時間は決まっておらず、通りがかりの船に着岸の合図を送ったり、船の方から寄って来てくれたりします。

Kampong Ayer側のジェッティ乗り場
Kampong Ayer側のジェッティ乗り場

事前に調べた情報によると、Kampong Ayerの住民たちが街へ出る価格は片道1B$。

料金はコースや時間によって異なり、すべて船頭との交渉で決まるとのことでした。

現地では地図が売っていないので、事前に地図を持っていくことが重要です。

地図を読めない人がほとんどなので、現在地と周辺の公共施設を伝えて目的地に移動します。

実際現地では、目の前の対岸に渡る程度の距離なら6人で2B$で渡ることができました。

料金が決まっていないので、受け取った金額の確認もしない人が多いように感じました。

紙幣を丸めて渡して、いくら渡したか一目で分からないようにするのが安く乗れるコツです。

ジェッティを操縦している人はほとんどKampong Ayerの住民で、これで生計を立てている人もいます。

一旦カンポンアイルに着けば、ほとんどの家にジャンバタンがつながっているので徒歩移動が出来ます。ここではジェッティが車のような役割をしているため、完全に歩車分離のようになています。

ジェッティからのKampong Ayerのまち並み

ジェッティでの移動

ジャンバタンとカキリマ(桟橋とベランダ)

家々を繋ぐジャンバタンは、人が通るための道としての機能はもちろん、電気、水道等もジャンバタン上を通して供給されており、水上都市の主幹線となっています。

車は通れませんが、自転車では移動が出来ます。

洗濯物を干したり、簡単な食材の加工、漁具の置場の設置など様々な日常の営みを見ることが出来ます。しかし、現在のように製剤した板で整備された歩きやすいジャンバタンは東マレーシアの一般的な水上都市にはあまり存在しません。

現在の形態のジャンバタンが普及したのは、1960年以降にジャンバタン整備の補助が行なわれるようになってからです。この整備によって都市近郊の水上集落以外にもジャンバタンが導入され、カキリマにジャンバタンが接合し、ジャンバタン上に要素が伸長することで、カキリマを交流の場・休息の場として使用することが可能になるという変化がもたらされました。

ジャンバタンとカキリマは「留まる空間」として機能することで、人々の生活を人の目に触れる部分まで導き、活気と魅力を集落にもたらしています。

ジャンバタンもカキリマも生活空間の延長として認識されているため、各家々の個性が内部だけでなく外部までしみ出していました。住民は共用しているジャンバタンと家々繋ぐジャンバタンを自分でカスタマイズしており、それぞれの個性がある家が多く見られました。

ジェッティ乗り場を建設中
ジェッティ乗り場を建設中
ジャンバタンを修理中
ジャンバタンを修理中

Kampong Tamoi Ujong 調査

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ジャンバタンとジェッティ乗り場

ジャンバタン

移動/生活行為(魚釣り、食べ物干しなど)/娯楽的要素(植栽など)

歩道に上下や横に、電気線・水道管があります。

 

ジェッティ乗り場

ボートの乗り降り/近隣住民同士の談話/魚釣り

川に突き出る配置のため、風が通しがよく、屋根のつくる日陰によって快適な場所です。場所を広く取り公共広場的役割を持つため、ベンチが置いて人が集まる場所としてなど、様々な行為の中心の場となっています。

テラス

テラス

テラスは基本的に庭的意味合いを持ちます。

涼む・談話といった休息の場や、魚釣り、食べ物・洗濯干しなどの生活行為の場としてに用いられます。

引用論文

ブルネイのカンポンアイル水上集落の水との関わりと「場」のつくりの魅力と問題の調査

日本建築学会学術講演梗概集(九州)1998年9月

東京理科大学工学研究科建築学専攻 大学院 修士  佐藤琢也

東京理科大学工学研究科建築学専攻 大学院 修士  中村光隆

東京理科大学工学部建築学科 助手・工修  小泉隆

東京理科大学工学部建築学科 教授・工博  鈴木信宏

Kampong Ayer 土地利用

水上集落再開発計画

歴史の古いKampong Ayerは1400年代には既に形成され、海上交通の中継港として重要な役割を果たしていました。水上都市は軒と軒が接するように建っているため、火災が発生すると延焼してしまいます。そのためブルネイ政府は火事で消失した場所への再建築を規制し、その空地に鉄筋コンクリート造の火事に強い住宅を建てて、国民に寄贈する計画が行われました。

国による水上都市再開発工事が行われ、鉄筋コンクリート造2階建ての水上住宅(一部平屋)65棟が7ヶ月という短い工期で施工しました。延焼を防ぐために住宅と住宅を6m以上離して設計してあります。

旧住宅平面図・配置図

新住宅平面図

新水上集落と旧水上集落
新水上集落と旧水上集落

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参考文献

水上集落の再生に関する研究

日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸)2010年9月

東日本旅客鉄道㈱  大古場稔 

法政大学教授  永瀬克己

公共施設

生活に必要なあらゆる施設が整っていて、学校・警察・モスク・日用雑貨店などがある。

shop

Primary School

Duli Pengiran Muda Mahkota Pengiran Muda Haji Al-Muhtadee Billah Mosque

Pehin Perdana Wangsa Haji Ibrahim Mosque

Sungai Kebun Mosque

Kampong Ayer Cultural & Tourism Gallery

カンポンアイルのギャラリーは、2009年6月に竣工、2009年8月にオープンした。

カンポンアイルを現代経済に融和させると共に、観光客やブルネイの住民にもカンポンアイルの過去を知ってもらうことで、昔からの家内工業を復活させるために建設された。

Sungai Kebun Fire Brigade/消防署

現地収集資料

Existing Land Use Plan/土地利用図

土地利用図(既存)
土地利用図(既存)

この土地利用図が作られた時は、カンポンアイルはすべて住宅地でした。商業施設や教育施設は陸地まで渡っていました。

Proposed Land Use Plan/土地利用図 提案

土地利用図(提案)
土地利用図(提案)

当時の作られた提案図は現在の土地利用に近くなっており、提案通りに計画が進んだことが分かります。

Kampong Ayer内で生活が出来るように、商業施設・コミュニティ施設・行政施設などが多数建設されています。

Detail Study Area

教育施設
教育施設